v0.7.0 — 2026春の大型アップデート
一括採点 v0.7.0 をリリースしました。 解答用紙をソフト上で設計できる「解答用紙作成」、 マークシートを自動認識する「OMRエンジン」、 答案画像の傾き補正など、大きな機能追加を含むアップデートです。
解答用紙作成
今回のアップデートの目玉は、解答用紙作成機能です。 これまで、解答用紙はWordやExcelなどで作成し、 PDFや画像として一括採点に取り込む必要がありました。 v0.7.0からは、一括採点の中で直接、解答用紙を設計できます。
大問・小問・枝問の3階層で問題構成を入力すると、 解答欄のレイアウトが自動的に生成されます。 プレビューを見ながら、配点や欄の大きさを調整できます。
| 機能 | できること |
|---|---|
| 3階層の問題構成 | 大問 > 小問 > 枝問の構造でテストの問題を入力 |
| 縦配置・横配置 | 大問ごとに縦方向・横方向のレイアウトを選択可能 |
| テキスト要素 | 注意書きや指示文を自由に配置。太字・斜体・数式にも対応 |
| ヘッダー記入欄 | 氏名・受験番号・合計点などの記入欄を設定 |
| PDF・PNG出力 | 設計した解答用紙をPDFやPNGで出力して印刷 |
| 試験への変換 | 作成した解答用紙をそのまま採点試験に変換して採点開始 |
テキスト要素では、Discord風のインラインマークアップが使えます。**太字**、*斜体*、__下線__、$数式$のように書くだけで、書式付きのテキストを解答用紙に挿入できます。$$...$$で別行立ての数式にも対応しています。
ヘッダー記入欄には「採点領域連携」を設定できます。 たとえば、氏名欄に「氏名」の連携を設定しておくと、 試験に変換したときに自動的に氏名の採点領域が作られます。 合計点や小計点の記入欄も同様です。
解答用紙の設計 → PDF印刷 → 答案スキャン → 採点 → 成績算出という流れを、すべて一括採点の中で完結できるようになりました。 解答用紙の採点枠の位置を手動で設定する手間がなくなります。
作成した解答用紙の定義はデータベースに自動保存されます。 変更するたびに即座に保存されるため、 保存ボタンを押し忘れて設定が消えてしまう心配がありません。 定義の複製もできるので、似たテストの解答用紙を効率的に作れます。
OMR(光学マーク認識)エンジン
解答用紙作成で作成した解答用紙に、マークシートや手書き数字欄を配置できるようになりました。 スキャンした答案画像を読み取り、マークの塗りつぶしや手書き数字を 自動で認識します。
OMRエンジンには、以下の技術が使われています。
- コーナーマーカー検出 — 用紙の四隅に印刷されたマーカーを検出し、スキャン時のズレや歪みを補正
- マーク塗りつぶし率判定 — 選択式バブルの塗りつぶし率を計算して、選択肢を自動認識
- 手書き数字認識 — ONNX RuntimeとMNISTモデルによる手書き数字の自動認識
この機能は、慶應義塾大学SFC研究所が開発した Mark2のOMRアルゴリズムを移植したものです(MITライセンス)。 認識結果は一覧表示され、誤認識があればその場で修正できます。
答案画像の自動補正
答案をスキャナーで読み取ると、 用紙がわずかにズレたり傾いたりすることがあります。 v0.7.0では、OMRのコーナーマーカーを利用して、 答案画像のズレ・傾き・拡大縮小を自動的に補正する機能を追加しました。
最小二乗法による類似変換で補正パラメータを算出し、 アップロード時に自動で画像を補正します。 補正がうまくいかない場合は元の画像がそのまま保存されるため、 画像が壊れる心配はありません。 この機能はトグルボタンでON/OFFを切り替えられます。
採点画面の改善
採点画面にもいくつかの改善を加えました。 日々の採点作業がより快適になります。
全設問の採点記号プレビュー
個別採点ビューで、選択中の設問だけでなく、 すべての設問の採点記号がプレビュー表示されるようになりました。 選択中の設問は緑色の枠で強調され、 それ以外の設問はグレーの枠と半透明の記号で表示されます。 答案全体の採点状況をひと目で把握できます。
アノテーション再利用パネル
「よくあるコメントを毎回手書きするのは面倒」という声にお応えして、 アノテーションの再利用機能を追加しました。 サイドパネルにタブ切り替え式のブラウザーが加わり、 過去に書いたアノテーションを検索して、 別の生徒や設問にワンクリックで再利用できます。 よく使うアノテーションはお気に入りに登録しておくと、すぐに見つかります。
キーボードショートカットの充実
個別表示モードで、WASD・矢印キーによる生徒の切り替えができるようになりました。 レイアウト方向(右→下、左→下など)に応じて、 キーの意味が自動的に変わります。 また、描画ツールのショートカットキーがツールチップに表示されるようになり、 サイドパネルを閉じていても採点ショートカットが使えるようになりました。
箱ひげ図の改善
個人成績表の箱ひげ図に「合計点」の表示オプションを追加しました。 小計別の箱ひげ図に加えて、合計点の箱ひげ図をワンクリックで表示できます。 また、スケールの計算を修正し、 配点に対する正しい割合が表示されるようになりました。
エクスポート機能の強化
エクスポート機能が大幅に強化されました。
一括書き出し
試験一覧から複数の試験を選択して、まとめて書き出せるようになりました。 学期末にすべてのテストデータをバックアップしたいときなどに便利です。 一部の試験で書き出しに失敗しても、残りの試験は続行されます。
エクスポートモード
書き出し時に3つのモードを選べるようになりました。
- 全データ — 採点結果を含むすべてのデータ
- テンプレート — 採点枠の設定のみ(別のテストに流用できる)
- テンプレート+小計設定 — 採点枠と小計グループの設定
「同じ形式のテストを別のクラスでも使いたい」というときには、 テンプレートモードで書き出して読み込むだけで、 採点枠の設定を引き継げます。
PDF加工のページ削除
PDF加工の出力プレビューで、不要なページを個別に削除できるようになりました。 白紙ページや表紙を除外したいときに、 ページカードにカーソルを合わせて削除ボタンを押すだけです。
問題分析機能
テストの各設問がどれくらい適切に受験者を識別できているかを 数値で確認できる「問題分析」機能を追加しました。 設問ごとの正答率・得点率・識別係数が一覧で表示されます。
識別係数は、その設問が「できる生徒」と「できない生徒」を どれくらいうまく分けられているかを示す指標です。 Excel出力にも「問題分析」シートが追加され、 テスト問題の振り返りや改善に活用できます。
識別係数の計算方法や活用方法については、「識別係数とは — テスト問題の良し悪しを数値化する」をご覧ください。
内部的な変更
ふだんの操作には影響しませんが、 ソフトウェアの内部でもいくつかの変更を行いました。
用語の変更:「プロジェクト」→「試験」
これまで「プロジェクト」と呼んでいた単位を「試験」に変更しました。 先生方にとってより自然な言葉遣いになるよう、 アプリケーション全体の表記を統一しています。 画面上の「プロジェクト一覧」は「試験一覧」に変わります。
v0.6.1以前に書き出したエクスポートファイル(.score)は、 v0.7.0でもそのまま読み込めます。 内部的に自動変換が行われるため、特別な操作は必要ありません。
パスワード保護PDFの対応改善
パスワードで保護されたPDFをアップロードする際の動作を改善しました。 パスワード入力を間違えた場合にリトライできるようになり、 エラー表示もわかりやすくなりました。
データベースの整合性修正
データベースの初期化処理やアーカイブ機能の整合性を修正しました。 成績算出や解答用紙作成のテーブルが正しく初期化されるようになり、 エクスポート・インポート時のデータの欠落を防止しています。
まとめ
v0.7.0は、69件のコミットを含む大型アップデートです。 解答用紙の設計、マークシートの自動認識、答案画像の傾き補正など、 テスト作成から採点・成績算出までの一連の流れを 一括採点の中で完結できるようになりました。
採点画面のショートカットキーの充実、 アノテーションの再利用、一括エクスポートなど、 日々の採点業務を効率化する改善も多数含まれています。
一括採点は今後もアップデートを続けていきます。 ご意見やご要望がありましたら、 GitHubのIssueやDiscussionでお聞かせください。
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