開発ブログ一覧に戻る
アップデート2026年3月7日

v0.7.0 — 2026春の大型アップデート

一括採点 v0.7.0 をリリースしました。 解答用紙をソフト上で設計できる「解答用紙作成」、 マークシートを自動認識する「OMRエンジン」、 答案画像の傾き補正など、大きな機能追加を含むアップデートです。

解答用紙作成

今回のアップデートの目玉は、解答用紙作成機能です。 これまで、解答用紙はWordやExcelなどで作成し、 PDFや画像として一括採点に取り込む必要がありました。 v0.7.0からは、一括採点の中で直接、解答用紙を設計できます。

大問・小問・枝問の3階層で問題構成を入力すると、 解答欄のレイアウトが自動的に生成されます。 プレビューを見ながら、配点や欄の大きさを調整できます。

機能できること
3階層の問題構成大問 > 小問 > 枝問の構造でテストの問題を入力
縦配置・横配置大問ごとに縦方向・横方向のレイアウトを選択可能
テキスト要素注意書きや指示文を自由に配置。太字・斜体・数式にも対応
ヘッダー記入欄氏名・受験番号・合計点などの記入欄を設定
PDF・PNG出力設計した解答用紙をPDFやPNGで出力して印刷
試験への変換作成した解答用紙をそのまま採点試験に変換して採点開始

テキスト要素では、Discord風のインラインマークアップが使えます。**太字***斜体*__下線__$数式$のように書くだけで、書式付きのテキストを解答用紙に挿入できます。$$...$$で別行立ての数式にも対応しています。

ヘッダー記入欄には「採点領域連携」を設定できます。 たとえば、氏名欄に「氏名」の連携を設定しておくと、 試験に変換したときに自動的に氏名の採点領域が作られます。 合計点や小計点の記入欄も同様です。

解答用紙の設計から採点まで一気通貫

解答用紙の設計 → PDF印刷 → 答案スキャン → 採点 → 成績算出という流れを、すべて一括採点の中で完結できるようになりました。 解答用紙の採点枠の位置を手動で設定する手間がなくなります。

作成した解答用紙の定義はデータベースに自動保存されます。 変更するたびに即座に保存されるため、 保存ボタンを押し忘れて設定が消えてしまう心配がありません。 定義の複製もできるので、似たテストの解答用紙を効率的に作れます。

OMR(光学マーク認識)エンジン

解答用紙作成で作成した解答用紙に、マークシート手書き数字欄を配置できるようになりました。 スキャンした答案画像を読み取り、マークの塗りつぶしや手書き数字を 自動で認識します。

OMRエンジンには、以下の技術が使われています。

  • コーナーマーカー検出 — 用紙の四隅に印刷されたマーカーを検出し、スキャン時のズレや歪みを補正
  • マーク塗りつぶし率判定 — 選択式バブルの塗りつぶし率を計算して、選択肢を自動認識
  • 手書き数字認識 — ONNX RuntimeとMNISTモデルによる手書き数字の自動認識

この機能は、慶應義塾大学SFC研究所が開発した Mark2のOMRアルゴリズムを移植したものです(MITライセンス)。 認識結果は一覧表示され、誤認識があればその場で修正できます。

答案画像の自動補正

答案をスキャナーで読み取ると、 用紙がわずかにズレたり傾いたりすることがあります。 v0.7.0では、OMRのコーナーマーカーを利用して、 答案画像のズレ・傾き・拡大縮小を自動的に補正する機能を追加しました。

最小二乗法による類似変換で補正パラメータを算出し、 アップロード時に自動で画像を補正します。 補正がうまくいかない場合は元の画像がそのまま保存されるため、 画像が壊れる心配はありません。 この機能はトグルボタンでON/OFFを切り替えられます。

採点画面の改善

採点画面にもいくつかの改善を加えました。 日々の採点作業がより快適になります。

全設問の採点記号プレビュー

個別採点ビューで、選択中の設問だけでなく、 すべての設問の採点記号がプレビュー表示されるようになりました。 選択中の設問は緑色の枠で強調され、 それ以外の設問はグレーの枠と半透明の記号で表示されます。 答案全体の採点状況をひと目で把握できます。

アノテーション再利用パネル

「よくあるコメントを毎回手書きするのは面倒」という声にお応えして、 アノテーションの再利用機能を追加しました。 サイドパネルにタブ切り替え式のブラウザーが加わり、 過去に書いたアノテーションを検索して、 別の生徒や設問にワンクリックで再利用できます。 よく使うアノテーションはお気に入りに登録しておくと、すぐに見つかります。

キーボードショートカットの充実

個別表示モードで、WASD・矢印キーによる生徒の切り替えができるようになりました。 レイアウト方向(右→下、左→下など)に応じて、 キーの意味が自動的に変わります。 また、描画ツールのショートカットキーがツールチップに表示されるようになり、 サイドパネルを閉じていても採点ショートカットが使えるようになりました。

箱ひげ図の改善

個人成績表の箱ひげ図に「合計点」の表示オプションを追加しました。 小計別の箱ひげ図に加えて、合計点の箱ひげ図をワンクリックで表示できます。 また、スケールの計算を修正し、 配点に対する正しい割合が表示されるようになりました。

エクスポート機能の強化

エクスポート機能が大幅に強化されました。

一括書き出し

試験一覧から複数の試験を選択して、まとめて書き出せるようになりました。 学期末にすべてのテストデータをバックアップしたいときなどに便利です。 一部の試験で書き出しに失敗しても、残りの試験は続行されます。

エクスポートモード

書き出し時に3つのモードを選べるようになりました。

  • 全データ — 採点結果を含むすべてのデータ
  • テンプレート — 採点枠の設定のみ(別のテストに流用できる)
  • テンプレート+小計設定 — 採点枠と小計グループの設定

「同じ形式のテストを別のクラスでも使いたい」というときには、 テンプレートモードで書き出して読み込むだけで、 採点枠の設定を引き継げます。

PDF加工のページ削除

PDF加工の出力プレビューで、不要なページを個別に削除できるようになりました。 白紙ページや表紙を除外したいときに、 ページカードにカーソルを合わせて削除ボタンを押すだけです。

問題分析機能

テストの各設問がどれくらい適切に受験者を識別できているかを 数値で確認できる「問題分析」機能を追加しました。 設問ごとの正答率・得点率・識別係数が一覧で表示されます。

識別係数は、その設問が「できる生徒」と「できない生徒」を どれくらいうまく分けられているかを示す指標です。 Excel出力にも「問題分析」シートが追加され、 テスト問題の振り返りや改善に活用できます。

識別係数について詳しく知りたい方へ

識別係数の計算方法や活用方法については、「識別係数とは — テスト問題の良し悪しを数値化する」をご覧ください。

内部的な変更

ふだんの操作には影響しませんが、 ソフトウェアの内部でもいくつかの変更を行いました。

用語の変更:「プロジェクト」→「試験」

これまで「プロジェクト」と呼んでいた単位を「試験」に変更しました。 先生方にとってより自然な言葉遣いになるよう、 アプリケーション全体の表記を統一しています。 画面上の「プロジェクト一覧」は「試験一覧」に変わります。

v0.6.1以前のファイルについて

v0.6.1以前に書き出したエクスポートファイル(.score)は、 v0.7.0でもそのまま読み込めます。 内部的に自動変換が行われるため、特別な操作は必要ありません。

パスワード保護PDFの対応改善

パスワードで保護されたPDFをアップロードする際の動作を改善しました。 パスワード入力を間違えた場合にリトライできるようになり、 エラー表示もわかりやすくなりました。

データベースの整合性修正

データベースの初期化処理やアーカイブ機能の整合性を修正しました。 成績算出や解答用紙作成のテーブルが正しく初期化されるようになり、 エクスポート・インポート時のデータの欠落を防止しています。

まとめ

v0.7.0は、69件のコミットを含む大型アップデートです。 解答用紙の設計、マークシートの自動認識、答案画像の傾き補正など、 テスト作成から採点・成績算出までの一連の流れを 一括採点の中で完結できるようになりました。

採点画面のショートカットキーの充実、 アノテーションの再利用、一括エクスポートなど、 日々の採点業務を効率化する改善も多数含まれています。

一括採点は今後もアップデートを続けていきます。 ご意見やご要望がありましたら、 GitHubのIssueやDiscussionでお聞かせください。

関連記事

一括採点を使ってみませんか?

最新版をダウンロードして、採点作業を効率化しましょう。

最新版をダウンロード

一括採点

中学校の先生が、全国の先生のために作った、採点ツール。

© 2023-2026 KeppyNaushika. AGPLv3 オープンソースソフトウェアとして開発しています。