複数の先生で採点が食い違ったら? — 一括採点 協調採点の確定の仕組み
一括採点では、NAS(共有フォルダ)を使って複数の先生で同じ試験を分担採点できます。 ここで問題になるのが、同じ答案を別々の先生が採点して、結果が食い違ったときにどうするかです。 一括採点は「提案」と「確定」という考え方で、この食い違いをきれいに整理します。 この記事では、協調採点の採点が確定するまでの仕組みを解説します。
協調採点は、NAS同期を設定して複数の先生で1つの試験を分担採点するときに関わる仕組みです。 ひとりのパソコンで採点する場合は、この仕組みを意識する必要はなく、これまで通りお使いいただけます。 「同じ答案を複数人で採点することがある」という方だけ、参考にしてください。
採点が食い違うとどうなるか
複数の先生で採点を分担するとき、ふつうは「この設問はA先生、この設問はB先生」と担当を分けます。 しかし実際には、同じ設問の同じ答案を、2人の先生がそれぞれ採点してしまうこともあります。
このとき、A先生は「正答」、B先生は「誤答」と付けていたら、どちらを正しい採点とすればよいでしょうか。 単純に「あとから保存したほうを採用する」とすると、先に採点した先生の結果が黙って上書きされ、 知らないうちに採点が変わってしまいます。これでは安心して分担できません。
そこで一括採点では、各先生の採点をいきなり「正式な採点」として扱うのではなく、 まず「提案」として記録し、そのうえで「確定」する、という2段階の仕組みを採用しました。
「提案」と「確定」という2つの段階
一括採点では、ひとりひとりの先生が付けた採点を「提案」として扱います。 提案は「この答案はこう採点しました」という、その先生の意見のようなものです。 同じ答案に対して、複数の先生がそれぞれ提案を持つことができます。
一方の「確定」は、「この答案の採点はこれで決まり」と最終的に決めた採点です。 提案がいくつあっても、確定はひとつの答案のひとつの設問につき1つだけです。
提案は会議での各自の「意見」、確定は会議でまとまった「決定」だと考えると分かりやすいです。 意見はいくつ出てもよく、最後にひとつの決定にまとまります。 一括採点では、この「意見」と「決定」をデータとして別々に記録しているので、 誰かの意見が知らないうちに消えてしまうことがありません。
有効な採点が決まるルール
では、ある答案の「いま有効な採点」はどう決まるのでしょうか。 一括採点は、次の優先順位で決定的に(いつ計算しても同じ結果になるように)導き出します。
| 優先順位 | 状態 | 有効になる採点 |
|---|---|---|
| 1 | 確定がある | 確定された採点 |
| 2 | 確定はないが、提案が全員一致 | その一致した採点 |
| 3 | 提案が食い違っている | 「競合」として保留 |
つまり、確定があればそれが最優先です。確定がなくても、採点した先生全員の提案が一致していれば、 わざわざ確定しなくても、その採点がそのまま有効になります。 提案が食い違っているときだけ「競合」となり、誰かが確定して決着をつける必要がある、というわけです。
多くの答案は、担当をきちんと分けていれば提案がひとつだけ、または全員一致になります。 その場合は確定の操作をしなくても採点はそのまま有効です。 確定が必要になるのは、提案が食い違った「競合」の答案だけなので、手間は最小限で済みます。
確定できるのは試験の持ち主だけ
採点を「確定」できるのは、その試験を作った持ち主(オーナー)の先生だけです。 誰でも確定できてしまうと、決定がころころ変わってしまうため、確定の権限をひとりに絞っています。
競合が起きた答案では、持ち主の先生が両方の提案を見比べて、どちらを採用するかを決められます。 一括採点には、提案を並べて比較する画面が用意されており、 どちらの採点を採用したかも記録されます。
持ち主が確定しようとしている間に、別の先生がその答案の提案を更新することもあります。 一括採点は、見比べている内容が古くなっていないかを確認し、 状況が変わっていればその場で知らせます。古い情報のまま確定してしまう心配はありません。
競合が残ったまま出力しないために
採点が競合したまま放置されていると、成績の集計や答案の書き出しに影響します。 どの採点を使えばよいか決まっていない答案があるからです。
そこで一括採点では、ExcelやPDFなどに結果を書き出す前に、 未解決の競合が残っていないかをチェックします。 競合がある場合は、出力前の警告画面でその件数を知らせます。 持ち主の先生が競合を確定してから出力すれば、食い違いのない正確な成績を出せます。
同期しても矛盾しない理由
複数のパソコンが同じデータをやりとりする協調採点では、 「どのパソコンで計算しても、同じ結論になる」ことがとても大切です。 もし計算するパソコンによって有効な採点が変わってしまうと、誰の画面が正しいのか分からなくなります。
一括採点では、確定を「答案の設問ごとに1つだけ」という形で記録し、 提案からの有効スコアの導き出し方も、先ほどの優先順位ルールで完全に決まっています。 そのため、どのパソコンで計算しても、同じ提案と確定の組み合わせからは必ず同じ採点が導かれます。
この仕組みは、一括採点が使っているデータ同期のライブラリ(sqlite-nas-sync)の改善とあわせて整えられました。 複数PCで採点しても、データが食い違ったまま分かれてしまわず、最終的に同じ状態に落ち着くよう設計されています。 同期そのものの仕組みについては、関連記事もあわせてご覧ください。
まとめ
一括採点の協調採点では、各先生の採点を「提案」、最終決定を「確定」として別々に記録します。
- 有効な採点は「確定 > 提案が全員一致 > 競合」の順で決まる
- 提案が一致していれば、確定しなくてもそのまま有効になる
- 提案が食い違うと「競合」となり、確定が必要になる
- 確定できるのは試験の持ち主だけ。比較画面で見比べて決められる
- 競合が残ったまま出力しようとすると、事前に警告で知らせる
誰かの採点が黙って消えることなく、どのパソコンで見ても同じ結論になる。 そんな安心して分担できる協調採点を支えるのが、この「提案」と「確定」の仕組みです。
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